香りの散歩道


箍がはずれる

墨絵・朝野泰昌
「朝野家 香りの散歩道」
この番組は、山陰 湯村温泉、朝野家の提供でお送りします。

年越しの準備を始めると、一年ぶりに日の目を見る道具もあるでしょう。
例えば、杵(きね)と臼(うす)。
これで餅つきをする家庭は少なくなったようですが、町内会などのイベントでは、今でも大活躍。
子どもたちが慣れない手つきで、ぺったんぺったん餅つきをする姿は、微笑ましいですね。

「昔取った杵柄(きねづか)」という言葉があるように、年を重ねても、ひとたび杵を握れば、若いときに身につけた餅つきの腕前を発揮する。
そんな頼もしい先輩方もいらっしゃるでしょう。

「昔取った杵柄」の杵柄とは、杵の柄(え)の部分のことです。
このように、生活道具から生まれた言葉の中には、語源となったものが、今ではあまり知られていないものもあります。

緊張感がなくなって気がゆるむことを、「箍(たが)がはずれる」と言いますね。
箍というのは、木の桶や樽を締め付ける、竹や金属でできた輪っかのことです。
これがゆるんだり、はずれてしまったりしたら、水がもれて使いものになりません。

江戸時代には、箍を締め直す「箍屋(たがや)」と呼ばれる職人がいたくらいですから、当時の人々にとっては身近なもの。
「箍がはずれる」という例えは、誰もがピンとくるほど、わかりやすかったのでしょう。

さて、令和のみなさんは、忘年会などで「箍がはずれる」ことのないように。
くれぐれもお気をつけくださいませ。


「朝野家香りの散歩道」この番組は、山陰 湯村温泉、朝野家の提供でお送りしました。

*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

8月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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